北陸〜中国〜九州の旅

4月9日
今日からは北陸地方を旅することになるが、前述のようにリストアップした印を付けた地図を忘れてきたがためにほとんど素通りしなければならない、なんとも歯がゆい思いをしながらのドライブとなってしまった。
こんな中でも発見は常にあるから、気は抜かないで行こうと考えている。

越前海岸をあえて8号線を使わずに海岸沿いの道をまったりと進む。
越前町の風光明媚な海岸線を行くと、根を海水が洗うようなケヤキにしては珍しいそれなりの巨木が現れた。こういった出合いがなんとも嬉しい瞬間である。
城ヶ谷漁港にあるケヤキで、恵比寿神社の祠に寄り添うようにして立っている。
根元にはハングル文字の浮きが転がっており、韓国が近いことを教えてくれる。

  

記憶の片隅にあった福井県の杉森神社のオハツキイチョウに立ち寄ってから京都府に入る。何本もの樹を通過してしまっていることを考えると残念でならない。
天橋立を通り過ぎ岩滝町に入ると権現さんの大椎の案内板が目にとまった。もう日は暮れてしまったが、まだ明るさは残っているので撮影は可能かも知れない。あせる気持ちを抑えながら急坂を駆け上がっていくと、樹形の良いシイノキが斜面に鎮座していた。解説板によると丹後地方では唯一のシイノキの名木だそうだ。

木の根元近くには山からの清水が流れており、この水でのどを潤す。一日走り詰めだったのでかなり疲労も溜まってきているようだ。少し横になって休むつもりだったが、目が覚めたら2時間あまり過ぎたところだった。あわてて飛び起き、少しでも距離を稼ごうと岡山方面へと車を発進させる。
中国道沿いの一般道をひたすら西へ進むが、いつもの事ながら高速は使わない。あえて使わないようにしていると、時間のロス以外ではまったく不便を感じなくなってくるし、お金を払ってまで高速に乗ろうという気持ちは全くなくなってしまうから不思議なものだ。
岡山県に入り落合まで来ると、醍醐桜の情報の電光掲示板が目にとまる。ここ落合町に限ったことではないが、著名なサクラは町興しの起爆剤としてその役割を担っており、ここ数年は花の時期ともなると黒山の人だかりで撮影する意欲が失せてしまう。花の時期だけ人はサクラを愛でるけれども、それ以外の時期はまったく見向きもしない。むしろ毛虫などが付くので近寄るのも敬遠するほどだ。この身勝手さはどうだろう。
外国では日本からプレゼントされたサクラが満開でも、それほどの関心は示さないと言う。右脳左脳の働きが違うと言ってしまえばそれまでだが、撮影の場所取りでいざこざがおきるようになってきたと聞くに及び、サクラを撮りに行くことはこれからも敬遠しがちになるんだろうと思う。

4月10日

醍醐桜
後醍醐天皇が隠岐へ流される際にここを通過されたという言い伝えから名付けられた。が、実際にはここは通過していないとのこと。
もう花の盛りは過ぎていて全国のサクラ同様、今年は10日ほど早かったのだという。

サクラの北西側にはなにやらテレビカメラが設置されており、ネットで開花の様子がリアルタイムで見られる仕掛けとなっているようだ。

この時期は吉念寺の道路は一方通行となっており、北へ向かう途中に岩井畝のサクラに自動的に誘導されるようになっている。ここのサクラもなかなか素晴らしい桜だ。
すぐ脇の社にはツバキが植えられており、歩道に落ちた花が見事だった。

 

また、このサクラに向かう途中にはカタクリの自生地などもあり、東京の方が訪れたならば卒倒しそうな風景が連続するところなのだ! バスを連ねて行ってみっか?

 

岩井畝から北へ2kmほどのところには、観音堂のイチョウと呼ばれるイチョウの雌株があり、奈義町の菩提寺のイチョウに次ぐ岡山県内2番目のイチョウとして有名だ。
この樹の下に住むおじいさんがいろいろと世話をしてくれて、冬の写真やら紅葉の写真やらを次々と見せてくれ、またまた予定外の時間を過ごす。中国地方では地域を代表する一本である。

時間も押してしまい、大佐神社へと急ぐ。
ここの杉は2本が合体したもので、全くの放置プレイ状態。しかしこれが樹にとっては逆にいいのかも知れない。遠くからも緑濃い杉の社叢がよく目立っている。
大佐神社は想像以上の立派な神社で、本殿までの長い杉並木も神聖な雰囲気充分。
その傍らに大きな口をぽっかりと開けて立っているのが大佐神社の大杉なのである。雷の影響であろうか、焦げた跡も見られ樹勢も気持ち弱々しいものとして感じる。

  

今日最後の訪問地、美甘村にある半田のケヤキに向かう途中、鬼の穴とかいう穴がぽっかりと道に向かって口を開けているのを発見。早速潜り込むと、何の事はないそれは小規模な鍾乳洞だった。
人が通るとセンサーが反応し自動的に明かりがつくという優れもので、20分ほど内部でくつろがせていただいた。
近くに温泉も沸いていたが、入浴料1000円でパス! 金のことばかり書いて申し訳ないが、こんな料金設定では最初からお客さんに来ないでくださいと拒絶しているようなもので、これはいかがなものか?はたして市場調査をしてから料金を決めているのか、はなはだ疑問に思う。

途中の首切峠(スゴイ名前だ!)手前ではケヤキの巨樹も発見。
寄水のケヤキと呼ばれるもので、かなり痛々しい状態だ。しかし樹木医さんの必至の治療跡が見受けられ、幹の途中から出た根を塩ビパイプで保護するという新治療?を試しており、やり手の樹木医さんだなぁと感心することしきり。

 

半田のケヤキに到着し、撮影にとりかかろうとすると根元にカタクリと翁草が植えられている。
なんて凝ったケヤキなんだろう!と感心していると、家のご主人が出てきていろいろとお話を聞かせてくれた。
やはりというか、寄水のケヤキを治療なさった樹木医さんがこの樹の面倒も見ていてくれており、治療後は効果も上々で元気さを取り戻しているという。ここでも小一時間話し込んでしまい、奥さんまでご登場でお客さん扱いとなってしまう。何とコーヒーまでご馳走になって恐縮してしまう。
環境庁の調査にこのケヤキのことが載っていると話したら、その本が是非とも欲しいとせがまれてしまい、たいそう困惑してしまう。

 

 

ここで夜もとっぷりと暮れてしまい、近くの天然温泉真賀温泉で疲れを癒し明日に備え広島県まで移動することに。

4月11日

二日市市にある極楽寺のアカガシへと向かう。
境内からは広島市の佐伯区方面の眺望が綺麗だ。残念な事にアカガシは思ったよりもこぢんまりとしていて、いくぶん期待はずれ。
「なんだ小さいなぁ〜」なんて感じるのは樹にとってははなはだ迷惑なことだろう。樹に優劣や順位をつけること自体いけないことだと感じる事もけっこうある。ここでまた少し反省をしてしまった。

樹下にはたくさんのドングリが落ちており、ちょっと並べて撮影する。

  

早く九州に上陸したいところだが、その前に見ておかなければならない樹がある。
山口県にある恩徳寺の結びイブキだ。前回訪問したときは夕暮れ迫る黄昏時で、さらに悪いことに境内にはおかしな輩が一人おり、なにやらぶつぶつつぶやきながら徘徊していたのだ。何をされるのか分からないような危険な人物だったので這々の体で逃げ出した経緯があったのだ。今回はどうやら時間的にもまともに撮影できるだろうし、またあの輩が存在するとは考えられないし・・・・。
広島県は、実はスキー場の数が全国一なのだそうだ。といってもそのほとんどが小規模なもので面積で比較するとそれはもう北海道や新潟などとは比較にはならないはずだが。
山口県境に近い冠高原スキー場を通りかかると、牛が放牧されていた。牧草はほとんど食い尽くされており、若い牛が何かをねだるようにこちらを見ているので、近くにある新鮮な牧草を摘んで与えるとにっこりと笑って(そう見えた)こちらへとやってきた。馬に与えるのと同じように牧草を差し出すと、猛烈な勢いで食べるではないか。これはおもしろい!
しばらく牛の相手でもしてあげようか・・・・・・。

山口県に入り日本三大樹の一本、川棚の大クスに訪れる。
日本三大樹と言われても、他の2本はまったく不明の訳の分からないもので、いろいろと資料をあたっているのだがまったく見当が付かないでいる。誰か知っている方はおりませんか?
確かにタコをひっくり返した姿は日本三大樹の資格は十二分にあるし、地上3mの幹周は日本一とも言えそうだ。
それよりも枝張りは間違いなく日本一のそれで、私の一押し「寂心さんのクス」よりも素晴らしいと断言できるほどだ。
ちょうど訪問時には北九州から来たというカップルがおり、頼んでモデルをやっていただいた。
美男美女のお二方で、芸能人かと思うほどの美貌!!の持ち主。

 

根元は枯れ草がそのままとなっており、昆虫たちの良きすみかとなっている。それを狙ってかわずたちの姿も見られ、カメラを向けても逃げないので何枚か撮らせていただきました。

目があっちゃこっちゃ向いてて愛嬌ある顔してます。
ここ川棚のクスのある公園は、近所のおばさん達が自分の畑でとれた農作物などを100円で販売してくれる露店もあり、撮影中にリヤカーで売りに来てくれたので高菜とキャベツを購入させていただいた。
包丁など持っているわけでもないので、水洗いして醤油をぶっかけキャベツを食べようと思って買ったものだったが、このキャベツが曲者だった。
無農薬だよ!とは聞いてたものの、これまで健全なキャベツとは想像もしていなかった!一枚皮を取るとナメクジのオンパレード!! うわぁ〜い!?
さらに一枚めくると、今度は青虫の糞のオンパレード。一部どろどろに溶けてるし・・・・。
考えようによっちゃ、ここまで徹底しているものはなかなか食べられない。公園の水で一枚一枚洗い、ナメクジさんには悪いが水と共に流れていただいた。ほんの1時間前にとれたものだろうから新鮮この上ない。しゃきしゃき感がたまらないし、本当のキャベツの味がした。
確かに東京などで食べているものとは違って、とても甘い。
一回で全部はさすがに食べられず、ナメクジと共に移動は考え物だったので、もったいないが半分ほど残してしまった。
またここに来たときには、かならず購入することを誓いクスをあとにした。

 

山を経由して恩徳寺のイブキに向かう途中、可愛らしい防火の看板があったので写真に納める。
なんともいい味を出してます。

さあ、いよいよ結びイブキとのご対面だ。例の変な輩がいないことを祈りたい!

 

おおっ!境内には誰もいない。
これで長年鬱積していたものを発散できそうだ。
それにしてもこの樹の異常さといったらどうだ?
もともとビャクシンはこういう枝ぶりの傾向はあるが、伸びた枝が180°Uターンするような枝はまず見かけない。人為的に作ったものとも思えないし、まったく謎に包まれた不思議な樹である。
巨木とは言えない大きさであるが、全国的にも有名な樹で国指定天然記念物にも指定される知る人ぞしる樹の一本だ。

帰りには名湯川棚温泉にゆっくりと浸かり汗を流す。今夜で本州ともしばしのお別れだ。
しかし、中部地方の地図を忘れたからと言って、九州に行き先を変更する自分ってなんて変な奴なんだろうと思う。
ここまで自由を満喫できるのも今だけの特典だ。

九州入りして中津で車中泊していると、隣りに車が停まった。何かいやな予感。ピンポ〜ン!
お巡りさんの登場だ。おいをい、夜中に起こすなよって感じ。
不審者と見なされ、しっかりと職務質問をうける。任意の取り調べだから拒絶はできるが、過去の経験からとんでもない警察官もいることは事実なので無駄な抵抗はしないこととする。
免許証はしっかりと若い警察官が持っていき、本部に照会でもしているのだろうか。
むかし浜松でやられたときには最初から喧嘩腰の警察官で、カメラを見るなり「これあんたのカメラだって証拠があるか?どうなんだ?ええっ?」なんて言われたこともあり、長野ではトランクの中も全部見せろ!なんてやられたこともある。
大根占町では警察官と意気投合し名刺までもらったこともあり、全部が悪い警察官ではないとは分かっているが、やはり疑われていることを思うと非常に腹立たしい。
道の駅で寝たらこういったことはないのかも知れないが、道の駅ではトラックや一般車のエンジン音や話し声、ドアの開け閉めなど落ち着いて寝られないのだ。
国道脇の大きな駐車帯が意外と安心して寝られる。あまりにも人気のない田舎で寝るのも考え物で、もしもの時には助けを呼ぶことが出来ないし、寝る場所には結構苦労させられる。
夜にここがいい!なんて思って寝ていると、そこは会社の離れた駐車場だったりして朝にはひんしゅくなんて事も結構ある。

お巡りさんは本当のことは言わなかったが、いま中津では競馬場の存続問題でもめていることを思い出した。おそらくその対策で夜のパトロールの強化をしているんだろう。なんだか目がさえてしまったのと、ケチが付いてしまったので少々頭を冷やすため移動することとしよう。結局国東半島の付け根あたりまで移動して寝る事となってしまった。

| この旅の目次 |

| つれずれ旅日記top | home |

 
|||||||||||||||||||||
Copylight(C) Hiroshi Takahashi  2002. All rights reserved.