■ 樹高について ■

世界で最大の生物である樹木。体積や重量などでも、哺乳類最大の生物でもあるシロナガスクジラをはるかに上回る巨大さを誇っており、背の高さにおいても他の生物の追随を許さない独壇場ともいえるでしょう。
現在世界でもっとも背の高い木は北米にあるセコイアメスギ(レッドウッド)で、その高さ約110mといわれています。過去の資料には120mを越えるものも存在したことが知られており、実際に伐採したものを計測すると120mを越えるものがあったとの報告もあります。また、オーストラリアを中心に分布するユーカリにも100mを越えるものが存在し、詳細な調査が行われたなら110mを越えるような個体も見つかるのかも知れません。


日本でもっとも背の高くなる木は、そのセコイアの血を受け継ぐスギと断言してもよいでしょう。1949年(昭和24年)の資料には宮崎県椎葉村の八村杉が73mとなっています。1971年(昭和46年)に編集された資料には福島県の杉沢の大杉が68mと記されています。
1982年(昭和56年)の資料には、長野県南木曾町八劔社にあるスギが64mでそれぞれ日本一とされていますが、資料や時期によって結果が違っているのは、台風などの風倒木災害による折損や枯死、計測の難しさなどが影響しているのでしょう。

参考に1949年、1982年の資料の一部を掲載します。

1949年
樹  名

 所在地    

 樹  種 樹  高 現存?
椎葉村の神杉 宮崎県椎葉村  スギ72.7 m
栃木県廬?村引田  ケヤキ58.2 m ×
蓮池の大樟 高知県土佐市蓮池  クスノキ54.5 m
大日松 茨城県大宮村  マツ54.5 m ×
府中の大椋 広島県府中町  ムクノキ54.5 m  
長谷寺の花柏 岩手県猪川村長谷寺  サワラ54.5 m  
愛媛県湯山村青波  ヒノキ54.5 m  

1982年
樹名 所在地  樹  種 樹  高 現存?
八劔社の大杉 長野県南木曽町自由社  スギ64.0 m
群馬県高山村 コウヤマキ61.0 m  
春日の松 島根県瑞穂町  クロマツ60.0 m
稲荷社のケヤキ? 福島県いわき市下三坂  ケヤキ55.0 m ×
府中の大椋 広島県安芸郡府中町  ムクノキ55.0 m  
蓮池の大樟 高知県土佐市蓮池  クスノキ55.0 m
長谷寺のサワラ 岩手県大船渡市長谷寺  サワラ55.0 m  

全国各地を旅して感じた印象としては、東北地方(特に秋田地方)に平均的に背の高いスギが多く存在し、50mを越えるものも数本確認しました。さすがに杉の国、秋田の面目躍如といったところでしょうか。
逆に成長の早い四国や九州には台風の影響などにより、平均すると東北地方などよりは全体的に低い印象を受けます。その代表が屋久杉で、幹は太いが背が低いスギの代表ともいえるでしょう。しかし森林内に存在し、風の影響を受けにくい地に成長したものには50mを越えるものも確認され、中には60mに手の届く高さのものも存在しています。その代表が高知県の「杉の大杉」で、西日本では最高の57mを計測しています。現在は台風の影響で先端部が折れてしまっていますが、大正時代の天然記念物指定当時には60mを越えており、この木も日本最高樹高の樹と言われたものです。

2002年現在、日本国内に公式な記録はありませんが、秋田県二ツ井町仁鮒にある天然杉の一本(きみまち杉)が58mということでNo1を宣言しています。
このスギ自体は森林内にあるため、残念ながら実測は出来ませんでした。しかし周辺に存在するスギを調査したところ、55m〜57mほどのものも多数確認することが出来たため、その信憑性はかなり高いと言ってもいいでしょう。


実際に木に登り高さを計測する事は猿でもない限り出来ない訳で、そこで登場するのがワイゼという計測器です。
根元から数十メートル離れた(任意)地点からの仰角を測り、樹高を割り出すという三角測量を利用した原始的な器具ですが、これが意外と正確なのには驚かされてしまいます。
このワイゼによって導き出された今までの最高値は、愛知県にある鳳来寺山の傘杉で63mの値を得ています。2001年に再調査に訪れ、5回ほど計測したのでかなり正確な数値であると考えており、これに次ぐものが高知県大豊町にある杉の大杉で、こちらは57m。上記にその名がある八村杉は54m、東京にある氷川の三本スギが53mでこれらに次ぎます。今までに計測したもので上位6本を一覧にしてみました。これからも60mに迫るような樹が出てくることと思われます。

■ 実測したもので、樹高の高いもの
樹 名

     所在地  

樹  種 樹  高
鳳来寺山の傘スギ 愛知県南設楽郡鳳来町 スギ 63.0 m
杉の大杉(南大杉) 高知県長岡郡大豊町 スギ 57.0 m
八村杉 宮崎県西臼杵郡椎葉村 スギ 53.5 m
氷川の三本杉 東京都西多摩郡奥多摩町 スギ 53.0 m
千光寺の五本杉 岐阜県大野郡丹生川村 スギ 52.0 m
地吉の夫婦杉 高知県幡多郡十和村 スギ 51.5 m


スギの次に背の高い樹種としてはモミが有力で、広島県では50mのものも確認しています。
現在では樹高の高いものはほとんど枯死してしまいましたが、クロマツも過去には60mに達するものがあったと聞いています。ついでカツラ、イチョウなどが続くと思われ、サワラやヒノキ、カラマツなども50m近くまで成長したものも存在するのではないかと考えられます。スギ以外で樹高の高いものです。

■ スギ以外で樹高の高いもの(実測)
樹 名

    所 在 地  

 樹  種 樹  高
南八幡神社のモミ 広島県 高野町南八幡神社   モミ50.0 m
春日神社のクロマツ 島根県 布施町春日神社   クロマツ46.0 m
岩手県 葛巻町  モミ46.0 m
軍刀利神社のカツラ 山梨県 上野原町  カツラ46.0 m
地蔵鞍のカツラ 山形県最上郡真室川町  カツラ46.0 m
洞のカツラ 岐阜県吉城郡宮川村 カツラ44.0 m
大久保のイチョウ 徳島県 神山町 大久保 イチョウ 43.0 m


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