明治時代に編集された本多静六著「森林家必携」のなかでは、全国でも有数のモチノキとして本樹が報告されているが、実際にはタブノキである。
現地の解説板にはイヌグスとしてあるが、タブと呼んだ方がより親しみやすいであろう。
10年ほど前の春先、枝に積もっていた雪に折からの雨が吸収され、その重みで主幹とも呼べる大枝が倒壊してしまった。
そのために根からは無数のヒコバエが生じ、以前からの印象とはかけ離れた姿となってしまった。現在ではヒコバエの成長も一段落し、本体の樹勢も回復しつつあるようだ。
かつては鬱そうと繁った森の中にあったらしく、ぼうぼう(フクロウ)が鳴き、地元の方はもちろん、持ち主の方も滅多に近づかなかったそうである。
奥多摩町の古里周辺から飯能市の南部にかけ、このような大きなタブノキが多数生育している。基本的に海岸沿いに多く見られるタブノキであるが、このような現象はいったい何を意味しているのであろうか。
※1 環境省資料による