小野のシダレグリ自生地

大正九年七月一七日 国天然記念物指定

正面の山腹に広がるシダレグリ自生地は、標高九五〇bから一、二〇〇bにおよぶ約三.四fの地域を占め、 八〇〇本以上のシダレグリが純林を形成している。目通り周囲一b以上の大木だけでも二〇〇本ほどあり、最大のものは周囲四b余の巨木である。
 この独特の樹形は、突然変異により「しだれ」と「頂芽(ちょうが)が数年で枯れて側芽(そくが)が成長する」という二つの性質を併せもったためにつくられたもので、 いわば盆栽の仕立てをシダレグリ自らが行っているようなものである。
 芽吹き、開花、結実、紅葉と季節に応じて様々な姿を見せてくれるが、樹形を見せる裸木の、特に雪の降った直後の景観は、見る人々を圧倒する素晴らしさである。
 自生地のあるこの谷は古来より小野と諏訪地方を結ぶ交通路にあたり、江戸時代初期には一時中山道(なかせんどう)の道筋となるなど人々の往来も盛んで、 奇形をみせるシダレグリの群落は早くから広く知られ、宝暦三年(一七五三)に編まれた『千曲之真砂(ちくまのまさご)』には「伊奈郡南小野村天狗森枝垂栗之事」 と題して紹介されている。
 隣に建つ古い説明板のように、早くも大正九年に「小野村枝垂栗自生地」として国の天然記念物に指定され、戦後の昭和三二年に現名称に変更され今日に至っている。

平成八年三月
辰野町教育委員会

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小野のシダレグリ




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小野のシダレグリ
指 定 国指定天然記念物
指定年月日 1920年7月17日 
所在地 長野県上伊那郡辰野町小野
解説板 あり   詳細を見る
樹勢等 良好
特記事項   
お勧め度 ★★★★★
到達難易度 ☆☆☆☆  下車後すぐ
撮影日 2009年6月9日
 環境省値  解説板値   実測値
幹  周    5.0m   4.0m〜   4.12m
樹  高               
樹  齢   伝承500年       
実測詳細 地上1.3m部分を計測 
アクセス JR中央本線「小野駅」から約3.5km
駐車場・トイレ完備
 

小野駅より3kmほど西の小野峠に向かって分け入ると、行く手に奇妙な山の斜面が目に飛び込んでくる。
それは一面シダレと化したクリの森。まさにこの世のものとは思えないような、異様な光景の出現に思わず息を飲む瞬間でもある。
冬に訪れると、細かく曲がりくねった枝の影響か霞がかかったようにも見え、さらにおどろおどろしいものに見えてくる。
付近の住民は、この地に足を踏み入れると祟りがあると恐れ、山には近寄りもしなかったという。
クリの実も、食用となるほどの大きさには成長しないことから、全く無用の山だったのだ。
そして付けられた名前が「天狗の森」。そんなことが幸いしたのか、数百本ものシダレクリの純林に近い状態となって存在しているのだ。
道路に最も近いところに最大のシダレグリがあるが、残念なことにこのクリは枯死してしまった。しかし、夏場でも枝に葉をまったく付けないこととなることから、シダレグリの枝ぶりの奇妙さを夏でも見ることが出来る貴重な存在でもあるのだ。
クリは枯死しても朽ちる速度が遅く、長年にわたって強度を保ち続ける。そのため鉄道の枕木などに使用され、大経木はほとんどが伐採されてしまった経緯がある。
この枯れてしまったクリは伐採されずに残してあるところを見ると、長年にわたって樹形を保持するであろう事から、意図的に残しているのだろうと考えているのだが・・・
現在では、周辺は公園やキャンプ場として整備が進められ、多くの観光客でにぎわいを見せるようになっている。
運が良ければカモシカなどにも出会うことができる、長閑な公園である。


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