土佐清水市の南西部、大月町まであと2kmほどの所に貝ノ川集落がある。長閑で南国情緒溢れる集落のように見える集落であったが、集落の最奥部に恩神社はあり、本殿脇に重量感豊かな姿をした御神木の「貝ノ川の大樟」が鎮座している。
東側の幹は大きく口を開けており、その形から安産に御利益があるとされてきたようである。多分このクスノキは2本の大きな幹が生長し、片方が倒れてしまったものであろう。
失われた幹が存在していたなら、どれほどの大きさであったのか興味は尽きない。
しかし、残った幹も西側から眺めると完全な一本のクスとして見ることが可能で、大きく根を拡げて立ち上がる幹の重量感と安定感は相当なものである。
内部はほぼ完全な中空のようであるが、そんなことはお構いなしとばかりに大きく枝を広げており、南国の温暖な気候が生長の後押ししてくれているようだ。
現在は枯れてしまったが、神社入り口付近の本殿正面にも大クスの痕跡が残っている。2本の巨木が揃って残っていれば、またとない巨樹スポットであったであろうに・・・・・・・残念だ。
大クスを撮影していても、どこからか子供達のはしゃぐ声が常に聞こえてくる。恩神社の南側には2009年3月で閉校した貝ノ川小学校があるが、ちょうど子供達も正月休みで、かつての母校のグランドで遊んでいる最中であった。
通りすがりである私には、とても陽気で過疎の深刻さを感じられない集落に見えたのであるが、現実は非常であった。
心の依り代でもある神社の周囲、御神木の根元付近も、心なしか荒れているように感じたのは致し方ないのであろうか。
少しづつ日本の受け継がれてきた文化が失われていく・・・・そんな現実を目の当たりにして、少々考えさせられた訪問でもあった。