赤城山南面にぽっかりと開く大穴。
かつての噴火口の痕跡とも伝えられ、13世紀に記録されている噴火の伝承らしきものも、この爆裂火口からの水蒸気爆発ではないかとも考えられているようだ。
その大穴火口の最下部にブナの大木が存在する。
林道が途中から通行止めのため少々歩くが、道路脇に樹名板は設置されるも、肝心のブナの姿が見あたらない。
見当をつけて藪の中をさまよい、ようやくブナの根元に到着した。
これでは、あきらめて帰る方も多いのではないだろうか。
ブナはドスの効いた黒い姿で出迎えてくれた。三夜沢のブナもそうであったが、色が黒いのがこのあたりのブナの特徴??
幹周も4mを超える大きさで、堂々たる体格である。
樹形もなかなか素晴らしく、凛とした立ち姿には感動すら覚える。
大穴火口内に降り注ぐ雨はすべてこのブナの根元付近に集約され、環境も申し分なしであろう。
背後の大岩の上には小さな祠が置かれており、古くから山の神として崇められていたのであろうか。
誰もいない静かな雰囲気を満喫していたら、フリークライミングの若者がやってきた。大穴をぐるっと取り巻く崖が、彼らには絶好の練習の場なのであろう。
いつの日にか早朝にブナを訪れ、朝霧の中で撮影したいと考えたのは言うまでもない。
なかなかの名木である。