国道56号線から分かれ、県道篠山公園線を約6kmほど遡ると正木の集落である。
集落の入口上部に大きく枝を広げたクスノキが見えてくるが、これが「戸たてずの楠」である。樹高はどちらかというと低く、左右に大きく枝を広げているのが特徴のクスノキである。
解説板にもある通り、現在も蕨岡家の所有であり、蕨岡家の広大な裏庭に位置しており、樹勢も盛んに枝を広げる。
1本のクスノキと思って訪問したのだが、なんと2本のクスノキが並び立っているのであった。
ともに幹周8mほどのクスが並び立つ様は壮大であり、遠方から望むとかなり大きな樹冠に見えたのも、これで納得である。
東側のものは主幹が折れて樹勢も衰退気味であるが、西側のものは根元付近より数本の幹に分かれ、その中の数本は地面と平行に大枝を伸ばし、広大な繁茂面積を誇っている。
双方のクスとも、多分古い時代に主幹に損傷を受けつつ成長したものだろうと考えられそうだ。
まだ若いクスであるからだろうか、これだけ横に枝が出ていても、支柱にはほとんどお世話になっていないところが素晴らしい。
生育する場所も湿潤した雰囲気で、周囲は植生に覆われており、クスノキの成長には打ってつけだったのだろうか。
2010年の正月に訪問したのであるが、この時は南国であるにもかかわらず結構な積雪があった直後で、家人の方は懸命に屋根から落ちてきた雪の処理の最中であった。
その作業の合間を見てご説明頂いたのだが、このクスノキに対する愛情が随所にひしひしと感じられ、大切にされていることを実感できる味わい深いものであった。感謝のひと言である。