金木町の中心部より西へ約10kmほどの山中にあるヒバの巨木である。
この木には何度もアプローチしたのであるが、その都度日没や降雨などによって行く手を阻まれていた樹であった。今回こそはということで、天候の晴れそうな日の午前中に訪問することを心に決めていた。はっきり言って、そう期待はしていなかった樹というのが本音であった。ところがどっこい、これは間違いなくとんでもない名木中の名木であったのだ。
地上3mほどから12本に別れ、それぞれ天を突き様はまさに圧巻。魚を突き刺すヤスの姿に似ているところから、12本ヤスと名前が付けられたと聞く。木の肌は独特な赤褐色をしており、始めて出会ったときの印象をより強烈なものとしてくれる。
12本に分かれる枝は、新しく1本が成長を始めると1本が枯れてしまい、決して12本以上とはならないのだそうだ。
後ろへ回ると表情が一変し、まるでエイリアンの顔のような厳つい表情となる。迫力では後ろ、奇抜さでは正面がいいだろう。
この樹の周囲はスギやヒバの巨樹が群生し、一種独特の雰囲気を有する森で、この樹が新日本名木100選に選定されてからは訪問者の数も増え、周辺の整備も忠実に行われているようだ。
帰りがけに地元の写真好きの爺さんが手にEOS1Vを携え、ふうふう言いながら登ってきた。28mmで狙っていたが、入りきらん!と一言。私のワイドズームを貸してあげるとニコニコしながら、「これはいいもんですなぁ〜、早速買わなきゃ」などといいながらしばし写真談義。最後は笑顔でお別れ。樹の袂での出会いはいつも忘れがたいものとなるのです。
※1 環境省資料による