――――――――――――――「清武のクス」――――――――――――――

宮崎

 


 
「清武のクス」のある船引神社を初めて訪れたのは2000年の11月のことでした。
 神木である「清武のクス」は境内で強烈な存在感を放っていました。ゴツゴツした岩肌のような幹にしめ縄が張られ、根本には空洞が暗く大きな口を開いています。それは、今まで見てきたどんな樹よりも巨大で圧倒的な姿でした。

  約1000年を生きた巨大なクスを前にしていると、自分がいろいろ悩んでいることがばからしいほど小さなことに思えてきました。その時の私は、離婚した直後だったのです。
 7年前にデザイナーとして独立し、同時に結婚しました。しかし、妻は長女出産のときに体調を崩してしまったのです。いくつも病院にかかりましたが治療はうまくいかず、娘が小学校に入学する頃には、仕事や生活もままならない状態になっていました。ついに妻と娘は妻の実家へ引っ越して行ったのです。
 苦しい生活を続けた6年間でしたが、精一杯の努力をしました。どんなに努力しても思いどうりにいかないことがある。それを思い知らされた結果でした。
 敗北感を味わいながらの一人暮しで、今までと全く違ったものを撮りたいという思いがわいてきました。そして選んだのが「清武のクス」だったのです。

 クスは大きくねじれた幹に深くしわを刻み、大枝も折れています。それは、長い間風や雨に耐えながら生きてきた姿でした。そして、勇気を与えてくれる姿でした。その時私は、すっかり巨樹の魅力に取り付かれてしまったのです。
 それからというもの、図書館やインターネットで巨樹をさがしては撮影に行くようになりました。訪れる巨樹はそれぞれが、個性的な人との出会いのような強いインパクトを与えてくれます。そんな巨樹たちの個性を表現したいと夢中になって撮ってきました。

 私の巨樹の写真は地元の月刊誌に連載されるようになりました。広報誌などの表紙として使われることもあります。初の個展を開催することもできました。こうしてインターネットで、巨樹を愛する沢山の方々の仲間にも入れてもらえるようにもなりました。
 巨樹の撮影を続けるきっかけとなった「清武のクス」は、今の私の原点として特別な存在となっています。


宮崎さんは、デジカメ歳時記http://www.mnet.ne.jp/~miracle/index.htmlのオーナで、お互いに相互リンクしている巨樹仲間でもあります。
掲示板にも良く遊びに来てくださり、当ホームページではなくてはならない存在の方であるのはいうまでもなく、今回の百人一樹の依頼にも快諾していただき公開の運びとなりました。
巨樹やカメラ、バイクと多趣味なご様子で、当掲示板の方々とも話がうまくシンクロするようです。
私も去川のイチョウの写真を拝見させていただいてからというもの、すっかりそのセンスに惹かれてしまいました。
今後もますますのご活躍、期待しております。

高橋





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