落葉松の花

カイデン



カラマツは高原や山岳地域に行くと良く見かける樹木で珍しくないが、「落葉松」と書く様に針葉樹でありながら落葉すると言う特異な特徴を持っている。また純林を形成する事も大きな特徴であろう。落葉松が一番目立つ時期は秋で、林全体が黄色に紅葉し日の光に輝く姿は誠に見事である。秋に劣らず、春の新緑、冬の霧氷や雪の姿など、四季折々の季節感を与えてくれるので、落葉松は私の馴染みの樹木となっている。しかしその花と出会ったのは私の長い落葉松との付き合いの歴史の中ではごく最近のことで、6、7年前秩父の三峰山に登った時であった。

落葉松は松の一種であるから、いわゆる松かさ(まつぼっくり)を付ける。この松かさは花の成れの果ての姿である。松かさは枝に付いていたり落ちていたりするのを良く見かけるが、その花を目にする機会は少ない。芽吹きの時期、まだ葉が出揃う前に花を咲かせる。三峰山でこの花を初めて見た時、大きな発見をした時の様に感動したものである。この花があの硬い松かさに変化する事など信じられない程に優しく淡い花であった。以後色々な場所を訪れては落葉松の花を見て来たが、もっと赤味の強い花が殆どで此れほど美しい花に出会った事がない。芽吹きの時期になるとより美しい花を求めて歩き回るのが楽しみの一つとなっている。



この花に出会ってからとても綺麗とは言い難い松かさにも目を向ける様になった。生命感あふれる柔らかな新緑の葉とカサカサした硬い松かさの組み合わせが妙に気に入って、木の周りを巡って眺める事も多くなった。落葉松は遠くから眺めるも良し、近寄って枝先を眺めるも良しで、これかも落葉松との付き合いが続きそうである。


 


カイデンさんは大学の同級生です。学生時代、山と自転車が好きな彼は神奈川県の丹沢山
へ自転車を担いで登った程のタフネスぶりでした。
趣味の写真は本格派、白神山地へは数回も自家用車で撮影に行っているそうです。
強い肉体の裏側に樹木をみつめる優しい眼がひそんでいたのですね。


                  瀬川英二  





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