村吉の天神さん

花子


ワシは熊本県泗水町の「村吉の天神さん」とそうよ(みんな)が言っとるイチイガシですたい。歳はかれこれ数百才て言われとるが本当の事は自分でもわからん。腰周りは7.5メートル、身長は20メートル位ごたる。

 今年の2月に、川崎からクマのごたるおっさんと小太りのおばちゃんがやってきた。なんでも最初はワシに会いに来るつもりはなかったんばってん、おばちゃんが「会うていこうよと」とおっさんにせがとだらしか。写真で見たワシの根っ子のおもせさ(おもしろさ)に魅かれてしもたていう事たい。二人はワシの方に近づいて来っと、いきなり「ワァー」とでかい声ばだした。ワシの根っ子の形と大きさにビックリしたらしかが、ワシもたまがった。


    


その声に気がついた人がもう一人いたばい。周りの竹林の手入れに来とったワシの持主の橋本のじいですたい。二人が挨拶ばすっと、橋本のじいはワシについていろいろ語り出したと。
橋本のじいもこまか頃、ワシに登って下の部落全体ば見下ろしたり、かくれんぼばしたりして、絶好の遊び場だったとたい。橋本家の家長は代々、正月にはワシの腰周りのしめ縄ば新しかのもの取替えに来て、お酒ば一升根元にまく。ワシはこれでほろええくらい気分になるのばってん、もう少し欲しかときもある。
橋本のじいは、ちょくちょく掃除に来てくれるけん、ワシの周りはいつもきれいだし、そうよ(みんな)がお参りにも来てくれる。時には白蛇が遊びに来たりする。
ワシはもっとしょて(昔)の事も話して欲しかったが、江戸時代のことは橋本のじいも知らんからな。しょて(昔)と言うても明治の頃は、すぐ近くに村吉小学校があって毎日子供が遊びに来たもんたい。ワシが出とる巨樹の写真集ば二人が見せると、橋本のじいはこの本ば知らんかったので大層喜び、この写真集ば新潟にいる息子共々買ったそうたい。 部落の衆にも見せとったなあ。

 橋本のじいはこの写真集の事ば教えてくれた二人にメロンば送ったようたい。この出来事に二人は感動がし、インターネットで知り合うた巨木の仲間とオフ会ていうとば開いてこのメロンば食べたそうたい。この頃はそういう出会いもあっとだなあ。
なんさま(とにかく)ワシが縁で熊本のじいと川崎の巨木好きの夫婦が知り合いになったていう訳たい。
山の奥の自然豊かなところにいる巨木もうらやましかが、ワシのごて子供や村人から愛されとる巨木も幸せていうとたい。 さ〜て今日は誰が遊びに来っとやなあ。

 


ベベパパさんの地蔵にヒントを得て書いてみました。変な熊本弁で熊本県の方ごめんなさい。「日熊翻訳」で翻訳しました。

次に登場いただきたいのは、この「百人一樹」という企画の発起人でもあり、山形の素晴らしさを教えてくれた「つるばみの庭」の管理人の「Tuki-yoさん」にお願いします。 
お会いする前は、言葉が豊かでしっかりした文章なので年配の方を想像していましたが、お若い方でした。彼女がいると周りが明るくなり、オフ会にも欠かせない存在です。

 




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